雄大な北アルプス、澄み切った空気と水
 飛騨高山にある透析施設のwebsite
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〒506-0825 岐阜県高山市石浦町6-220                                                            代表:0577-36-1911 透析:0577-36-1191


代替療法の取り組み

~当院では様々な代替療法を積極的に取り入れています~

リフレクソロジー

リフレクソロジー

1)リフレクソロジーとは 

リフレク0001.JPG   反射区 リフレクソロジーでは、足底に身体各部分に反応する反射区があると考えられています。手と指によって足底に加えられた圧力が身体各部に刺激となって伝わり、各部の血液やリンパの循環を良くします。そうすることで、身体の自然治癒力を高め、恒常性を保たせようとします。また、足底を心地よく刺激するためリラックス効果が高く、心身を癒す効果もあります。そしてリフレクソロジーでは体を部分で捉えるのではなく、クライアントを取り巻く環境全てを考慮に入れ不調の原因を探らなければならないと考えます。故に、特定の症状を治すと言うよりは、身体機能全般にはたらきかけて、体が本来持つ自然治癒力を引き出す手助けをする療法と言えるでしょう。足背.JPG人体は何千ものパーツが協調的にはたらいて、最高のレベルで機能するようになっています。複雑でデリケートであるため、外界からのストレスの影響を受けやすいのです。ストレスにさらされ続け心身共に疲弊してしまった時、バランスが崩れ病気やけがが起きてきます。リフレクソロジーは、その微妙なバランスのずれが元の状態に戻るよう、手助けをすると考えられています。

2.具体的な効果

1)リラックス効果
 リフレクソロジーは足底を心地良く感じられる程度の圧で刺激するため、とても気持ちが良く、足の疲れだけでなく、身体全体がほぐれてゆく感じがします。痛みを感じさせない流れるような手技で施術するので、心身共にリラックス効果が高く、ストレスの軽減をはかることができます。透析中の施術では、眠ってしまう患者が多く、眠ってひと休みしたいからと施術を希望される患者さまもいます。施術後は足が軽くなったという感想を持たれる方が全体的に多いです。

2)下肢の循環の改善
 身体の末端を刺激するため、血液やリンパの循環が促進されます。施術後は足だけでなく、身体全体が温まったと感じるようです。エフルラージュの手技だけでも、末梢から中枢に向かってさすりあげるため、血液・リンパの循環を促し、むくみの改善も期待できます。しもやけの改善・予防には著効がみられました。痛みや腫脹がある部位には触れないようにしながら他の部位にアプローチします。むずがゆくなってきたという段階で施術すると、それ以上症状が悪化しないだけでなく、すっかり改善した症例もありました。

3)便秘の改善
 便秘気味だからと施術を希望される患者さまには、消化器系の反射区を念入りにトリートメントします。次の透析に来院された時には、すっきりと便が出たという返事をいただけます。

4)筋肉・関節をほぐす
 以前、透析歴30年を越え、アミロイド-シスで関節が硬くなり、歩行障害をきたした患者さまがいました。膝から下はまるで角材に触れているような感触でした。透析の度に施術すると、角材の様だった下腿の皮膚や筋肉が少しずつほぐれ、徐々に「人間の足」の感触に変わってゆくことが実感できました。
 リフレクソロジーは、反射区に現れるサインを感じ取ることが大切な作業ですが、手技には関節運動やマッサージも含まれるため、施術を繰り返すことにより、硬くなった関節や筋肉をほぐす効果も期待できます。

5)患者さまとのコミュニケーション
 リフレクソロジーでは、足底に身体各部分に反応する反射区があると考えます。施術者はサインを感じた部位を患者に伝えながら、患者が感じている不具合を聞き取り、その原因がどこからきているのか、患者と共に探りだしてゆきます。
 リフレクソロジーは癒し効果を期待するだけのものではありません。身体は全てのパーツが協調的にはたらいて機能していることを理解してもらい、患者を取り巻く全ての環境や心の状態も考慮に入れ、患者と共に改善方法を考える場でもあるのです。

6)下肢の知覚の改善
 近年糖尿病性腎症による透析導入者が増加しています。糖尿病による下肢の知覚鈍麻がある患者さまは、すでに視力障害もきたしていることが多く、糖尿病性足潰瘍など足病変に気づかない場合があります。リフレクソロジーは、そういった患者さまの下肢を観察するチャンスでもあります。マッサージにより血流が良くなることで、一時的でも知覚が改善することも期待されます。知覚が改善されると足底が地面に接する感覚が分かるようになり、歩きやすくなったと言われる患者さまも少なくありません。

施術テクニック例
エフルラージュ.JPG  エルフラージュ引き上げ回し.JPG   引き上げ廻し尺取り虫.JPG   尺取り虫
円らせん.JPG    円らせん滑り指.JPG    滑り指親指重ね.JPG   親指重ね

3)リフレクソロジーへの想い

 透析は死ぬまで続けなければなりません。その日の透析の終了は、すでに次の回の透析の始まりとなります。無意識のうちに緊張を強いられる患者さまに、看護師としてどう寄り添ってゆけば良いのだろうか。P1010103.JPG思い悩む中で出会ったリフレクソロジーは、体を温め、心も温め、施術者とエネルギーを通わすことで人間が本来持つ自然治癒力を引き出すことができるすばらしい療法です。足に触れ、話を聴くことで、透析のつらさを一時でも忘れることができれば、そして、心の奥に近付き寄り添えたらと日々取り組んでいます。



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整 膚

整 膚

 透析患者さんの痛みには、透析アミロイドーシスによる骨・関節障害に伴う痛みや、同じ姿勢で長時間過ごす事による筋肉の緊張などから、肩こりや腰痛・血管痛などいろいろあります。これまで透析患者さんの疼痛緩和の手段としていろいろ試みてきましたが、最終的には薬剤に頼り、薬の効果が現れるまで、患者さんには我慢を強いることになります。その度に空しさと歯がゆさを感じ、看護師に出来る疼痛解消の方法を模索していました所、「皮膚をひっぱることで疼痛緩和する」という整膚に出会いました。そして平成21年「整膚師」の資格を修得し、それ以来当院では整膚を代替療法のひとつとして取り入れています。

整膚について

整膚の効果.jpg     クリック拡大 整膚とは1992年徐堅氏によってはじめられた「皮膚をひっぱる」健康・美容治療法のことを言います。整膚をする場所はワンフロアーの透析室です。透析機械とベッドが並ぶ限られたスペースで他の患者さんにも気を配りながら行います。施術時間も患者さんの状態に会わせ、血圧の変動など細心の注意を払いながら、ベッドサイドで行います。血管痛・肩痛・膝痛・腰痛・上下肢のしびれ・手足の冷え・皮膚の掻痒感や便秘などに整膚の効果が見られました。
部分的な痛みを訴えられる場合でも、体全体が緊張し硬いイメージを受けることがあります。ちょうど体形に合わないサイズの服を着た時の窮屈そうな皮膚の感じです。基本的には全身整膚で気血の流れを良くして緊張をゆるめるようにしています。

<全身整膚の順序>
 シャントに関係なく、基本的には左側の手から始めます。
上肢から肩
① 手の平を軽く拡張し、手指間を優しくひっぱる。
② 手関節・肘関節のまわりは気相整膚をする。
③ 前腕は二指、三指でひっぱり、上腕二頭筋から肩にかけては三指、四指でひっぱる。
④ 出来れば上肢を挙上し、二の腕・腋窩・側胸部をゆっくりひっぱる。
⑤ 腋の中央をひっぱる。右手で肩を持ち左手で腋全体を大きく持って同時にひっぱる。
背部から腰部
⑥ 両手を左肩と肩甲骨の下に差し込みひっぱりだす。背部から腰部・腰部から臀部を同じようにひっぱる。(背中が広がった様で気持ちいいと反応がある)
⑦ 右側臥位になり背骨に沿って(太陽膀胱経)首から腰までひっぱる。肩甲骨全体をひっぱる。(無理に側臥位としない)
下肢から足部
⑧ ソ頚部と大腿部(内側と外側を経絡に沿って)膝関節周囲をひっぱる。
⑨ 膝を立て、臀部の付け根から膝裏、下肢まで(足の太陽膀胱経)ひっぱる。
⑩ 足の甲を両手で拡張する。指の間と付け根をひっぱる。踵とアキレス腱のまわり・足首周囲をひっぱる。
⑪ 反対側も同じように整膚をする。(施術時間15~20分)

狭く感じた肩幅は広がり、全体にリラックスした状態の体形となり、「暖かくなった」「軽くなった」「楽になった」など患者さんの反応があります。

※透析中、整膚で疼痛緩和がみられた症例を紹介します。

ケース1 シャント肢の痛み

 季節によっては寒さのため血管収縮によると思われる脱血不良や静脈圧の上昇などが見られます。透析後半には上肢や肩の倦怠痛などがあります。
可能なら上肢を挙上し腋窩を広げ肩の緊張をほぐし、気血の流れを改善します。
Hさんは68歳女性 透析歴18年です。
1か月半前、左上肢に人工血管内シャント造設術を受けました。
透析開始2時間後、シャント肢の肘関節に倦怠痛の訴えがあり、シップ剤貼付と温罨法で対処しました。1時間程度経過しても痛みは軽減しません。約15分間の整膚で疼痛緩和することが出来ました。
<経過と整膚の手順>
 シャント肢の腫脹と疼痛は続いており、手指はホットパックを握った形で固まり、前腕の筋肉の硬さがあります。
① 手指の間(指の付け根)を優しくひっぱり、手全体をゆるめる。
② 手首・肘関節の周囲は気相整膚で前腕の筋肉に弾力が出てきます。
③ 肩周囲の張り付いたような皮膚は細かくひっぱり、腋窩全体を施術することで気血の流れの改善を図ります。
上肢全体の緊張がゆるんだ時点では「いくらか楽になった」程度でした。
全身整膚の順序⑥⑦で背部まで整膚をすることで、上半身全体の筋肉がゆるみ「痛くない・楽になった」と最後まで安楽な透析をすることが出来ました。
痛みの強さの評価として使用したフェイス・スケールでは4から1まで緩和されました
 フェイス・スケール 
フェース0:痛み全くなくとても幸せである  フェース1:わずかな痛みがある
フェース2:軽度の痛みがあり少し辛い    フェース3:中等度痛みがあり辛い
フェース4:かなり痛みがありとても辛い   フェース5:耐えられないほど痛みが
ある

ケース2 下肢の知覚異常と坐骨神経痛

  Nさんは68歳男性 透析歴34年です。6年前の平成16年に第4腰椎破壊性脊椎関節症で腰椎後方固定術施行。翌17年には頸椎椎弓形成術施行。その頃から股間から大腿部にかけ「濡れたような」知覚異常と足部の冷感としびれが続き日常生活にも支障をきたしております。第3腰椎すべり症の進行に伴い、殿部から大腿部の強い痛みのため神経根ブロックの治療や鎮痛剤使用や近赤外線照射などに会わせ、透析中、整膚で疼痛緩和に努めました。下肢の整膚を週1~2回・6カ月ほど継続することで「濡れたような」不快な知覚異常は消失しました。左下肢、特に足部のピリピリしたしびれと知覚異常が続くため、透析中の全身整膚は継続しました。15分程度で下肢は温かくなり、ピリピリしたしびれも半減し予定時間の透析は完了できました。
第3腰椎のすべり症の進行に伴い、臀部から大腿部の痛みや大腿部外側の硬直・しびれや冷感も増強し、仰臥位での透析は困難となりました。
「くの字」の姿勢で臀部全体を柔らかくなるまで時間をかけてひっぱりました。
臀部の硬さがとれ、大腿部外側の緊張がゆるんだ頃、「楽になった」と眉間のしわが消え笑顔も見られました。整膚をしながら寄り添うことで、精神的にも安心が得られたようです。他にも「濡れたような冷感」で苦しんでいる透析歴30年の女性も、下肢の整膚を継続することで症状緩和が出来、不安も和らげることができました。透析歴30年以上で亡くなった患者さんと同じ症状の出現は、かなりのストレスとなっていたようです。

ケース3 膝関節痛

 Yさんは72歳女性 透析歴27年です。 数年前に変形性膝関節症と診断され、下肢はO脚で腰も曲がり年齢以上に老けて見えます。
透析後半から膝痛が強くなり、帰宅後の家事が困難で透析治療に対する気持ちも否定的になっています。
 左膝関節は変形し左右差があり、左膝蓋骨上部内側の凹みが気になります。
 週1~2回、全身整膚を数カ月続けることで、帰宅後、楽に家事も出来るようになりましたが、膝蓋骨上部内側の凹みに変化はありませんでした。
臥床時、左足部は外側に倒れていることに気づき、左臀部中心に整膚をしてみました。
① 臀部から大腿の付け根を広げるようにひっぱり出す。
② 大腿付け根の外側にある凹みが、ふっくらするまでひっぱる。
③ 左足部を立たせた状態で皮膚の緊張している部分(大腿部から下肢にかけて皮膚の張りがある)をひっぱる。
④ 膝蓋骨上部の凹み部分の周りを丁寧にひっぱる。
 徐々に凹みは戻り、数週間後には気にならないようになりました。
楽に下肢を伸ばすことが出来、腰が伸び、若返ったようです。表情も明るくなり、身長測定では1年前より1・4㎝伸びていました。

ケース4 掻痒感

Kさん62歳男性 透析歴9年です。30~40代にアトピー性皮膚炎でステロイド剤使用。肝機能の悪化のため治療中断。その後も寛解・悪化を繰り返していました。透析導入後も上肢に発疹と痒みのため皮膚科での内服・外用治療や注射で症状は緩和していました。
ある日突然、右手首から前腕と両下肢に発赤疹と強い痒み・右手掌と足底の皮膚は肥厚しこわばっていました。
ひとつひとつ疹を拡張することで10分後には痒みは消失。「手がスースーと空気が通っているよう」と言われ皮膚のこわばりも解消しました。(白取による掻痒の判断基準④から0)
5日後、両上下肢の強い痒みと発疹で、皮膚全体は腫張し熱を帯びていました。
特に上肢内側には水泡疹が在り、掻き傷も見られました。(ジュ―リング胞疹状皮膚炎と診断) 疹のひとつひとつを丁寧に拡張しました。約10分後には発赤と熱感が消え、皮膚全体が柔らかく潤い、透明感のあるきれいな皮膚に変わりました。痒みの程度を本人に確認しながら、痒みを消失するまでに約1時間要しました。「痒みが消えた」という驚きの体験です。
掻痒の程度の判断基準
 程度4:激烈なかゆみ 程度3:中等度のかゆみ 程度2:軽度なかゆみ 
 程度1:軽微なかゆみ 程度0:症状なし

<透析中の施術の注意>
 整膚は副作用がなく安全な施術方法だと言われていますが、透析中に行うため、患者さんの状態には細心の注意が必要です。抗凝固剤であるヘパリンを使用するため、出血しやすくなるため、基本的には気相整膚で優しく丁寧にすることを心がけています。
透析中、特に後半の血圧低下に対しては「透析患者さんの整膚は、血液循環を良くするのではなく、気の流れを良くすることが大切」の教えを意識することで、急激な血圧低下もなく、安心して患者さんの要望に対応じています。
自分でできる整膚.jpg      クリック拡大徐々に自分自身で整膚をする患者さんが増えてきました。施術しながら整膚のポイントをお話ししてきた成果が見えてきたと思います。

<整膚を介して思うこと>
 透析患者さんの整膚を、長期間継続して気付いたことがあります。皮膚を耕しリラックスすることで、体全体(骨・内臓)が最も心地よい本来の位置に治まる力がある・・・と感じる瞬間があります。また皮膚を介してその人から、いろいろな思いが伝わる時があります。
特に言葉に表わされない「痛み」が皮膚のこわばりや、硬い筋肉から直接指に伝わってきます。患者さんの痛みを体感することは困難ですが「痛みを想像」し、私の痛みとして捉え感じることはできると思います。「快で疼痛緩和」の整膚は、透析中の苦痛やストレスを癒す効果があり、積極的に患者さんの痛みと向き合うことが容易になり、コミュニケーションを深めるきっかけにもなります。整膚は手と目で看る看護ケアの本質を呼び戻してくれたように思います。今後も皮膚と向き合い対話しながら、謙虚な気持ちを忘れず励みたいと思います。


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