透析と食生活
高桑内科クリニック的食事指導
透析食とは健康を維持、増進するためのバランスのとれた食事を言います。長期に安定した透析生活を送るためには、心不全や動脈硬化、二次性副甲状腺機能亢進症などの合併症を予防する食事を心掛けることが大切です。
透析食のポイント
1、バランスの良い食事を摂る。
(1日3回規則正しく、30品種類以上の食品を食べること)
2、熱量を適切に摂る。
3、蛋白質は必要量を守る。(過剰摂取はしない)
4、水分を控える。
5、塩分は8g以下にする。
6、カリウムを摂り過ぎない。
7、リンを取り過ぎない。
具体的には水分と塩分についてですが、透析患者さまは尿量が全く無い、または低下しているため、体の中に水分が溜まってきます。水分の取り過ぎは「むくみ」や「血圧の上昇」などが現れ、更に大量の水分が溜まると「咳が出る」、「横になると息苦しい」などの症状が現れます。
塩分をたくさん摂ると血漿中の塩分が濃くなり、のどの渇きが強くなります。(血漿中の塩分の割合は一定に保たれているので、塩分8gの摂取で1Lの水が体に溜まることになります。)塩分と水分の過剰摂取は相互的に体重増加につながるので注意が必要です。
蛋白質とリンについては、まず食べ過ぎに注意すること、適正な蛋白質の摂取量は標準体重1kgあたり1.0~1.2gと言われています。そして蛋白質の多い食品にはリンも多く含まれていることも忘れてはいけません。
そこで蛋白質、リンの制限のポイントを以下にまとめました。
1、リン制限には蛋白質制限が重要。
2、リンの低い常用食品の使用。
3、加工食品では添加物に注意。
4、低リン食品(特殊商品)の使用。
カリウムについて
血液中のカリウムは、少なすぎても、多すぎても生命の維持におおきな影響を及ぼします。1日のカリウム摂取量は1,500mg以下に抑えましょう。
生野菜は水にさらしたり、煮野菜の場合は茹でこぼすことによりカリウムを減らすことができます。フルーツはその量が特に多いので注意が必要です。100%果汁のジュースやトマトジュース、野菜ジュースも同様です。
しかし何より大事なのはカリウムは時間をかけて、十分透析を行うことが大切です。
いろいろな制限ばかりのお話でしたが、食べてダメなものはひとつもありません。食品の栄養知識や透析食の考え方を身に付け、味付けにレモンや酢、香辛料など上手に利用して、料理を楽しんでいくことが、バランスの良い食生活を送るポイントだと思います。
透析室 看護師 中林 美栄子
イラスト参照「水分・塩分コントロールのためのワン、ツーステップ」
東京医科大学 腎臓科教授 中尾俊之 著
同 腎臓科管理栄養士 金澤良枝 著